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時は大海賊時代 2
「俺の財宝?ほしけりゃくれてやる。探してみろ。この世の全てをそこに置いてきた」

                             - 海賊王 ゴールド・ロジャー -


「幼女が居ないんじゃすべてとはいえないなっ」

                             - 番犬王 ALF -

「おかずて」
 エリファスはホワイトペインを呆れた表情で見たが、どこか慣れっこな様子であった。
 こざるはほっと胸をなでおろした後、みずみずにくってうまそうだなと考えたあたり、
結構大物になるのではなかろうか。
 水水肉とは、ウォーターセブンの名物肉。
 詳しい事は筆者にはわからないがさぞ美味だという。
「今更追ってもどーせおいつけねえし」
 ホワイトペインはそう言って弁当を食い始めた。
「って・・・それのおかずじゃねえのかよっ」
「待ってられるわけねえだろ」



「というわけで、ウォーターセブンに向かいたまえ」
 弁当を食い終わったホワイトペインが指令を下す。
 やはりポルトーガ1の提督だけあって威厳は、
「口に米粒つけてびしっとされてもな・・・」
「失礼・・」
 ホワイトペインは米粒をとり、服を正してこざるの方へ向き直った。
 エリファスはソファの背もたれの部分にあぐらをかいて座っている。
「ん・・・え、俺が付いてくってこと?」
 エリファスは驚いたが何かを察した顔をホワイトペインに向ける。
 一瞬沈黙が部屋の時を止めた。
 エリファスの横にいたりんごが、エリファスの肩にポンっと手をのせ、
「明日の弁当作ってやるから行ってこい」
「明日の分だけかよおっ」
 エリファスは帽子を深くかぶってうなだれる。
 羽根の飾りのついたツバの広い帽子である。
 腕を組んで考えていたがやがて帽子をくいっと上げて、
「えろふとぷにこを連れて行くぜぇ」
「ふむ、よかろう」
「あとはー・・・ガレオンで行くかぁ・・・」
 ホワイトペインは窓の外の船を眺め、エリファスの言葉を背で受ける。
「船はあれだ」
 こざるはホワイトペインの背が陰になって船が見えなくなっているので
 必死に首をのばしてみようとしている。
 窓の外、ホワイトペインの視界の先には三本マストの小型船が浮かんでいた。
「キャラベルて」
 エリファスが驚きや呆れを通り越して笑いを向ける。
 ガレオンとは航行性能と積載性能ともに良く、この頃の海軍の主力の船である。
 一方キャラベルは小型で主には探検向きといった船である。
「私用に大切なお国の船と水夫は使えねえだろ」
「私用・・・おい人材育成なんだから・・・」
 エリファスは即座にホワイトペインの言葉に反応した。
 もはやこざるを育成するという事は二の次であるようだ。
 しかしながら、各国からの圧力もあり往年のような財力のない国家事情を考えた
ホワイトペインの愛国心の表れなのかもしれない。
 あくまで私財で人材を育てようとしているのか。
「給料だけは振り込むからそれでやりくりしてね」
 私財とは部下の私財の事であった。
「グランドライン入るのに・・・キャラベルと、しかも自分の給料で航海・・・ついにボケたのか」
 さすがにエリファスは反論した。
 グランドライン。この世界に海は二つある。
 世界の海を真っ二つに両断する巨大な大陸を赤い土の大陸(レッドライン)と呼び、
その中心と言われる町からレッドラインに対して直角に世界を一周する航路が偉大なる航路(グランドライン)である。
 エニエスロビー、ウォーターセブンはいづれもこの航路上にある。
 もっとも危険な航路だと言われている。
 数年前、ホワイトペイン(当時少佐)率いるホワペ艦隊はある海賊を追ってこの危険な航路へと入った。
 まだ新設であったホワペ艦隊は死地を何度もさまよいながらもなんとか航路途中で
目的の海賊を壊滅させ帰還する事ができた。
 その艦隊の船長の一人であったエリファスは偉大なる航路の恐ろしさを肌で知っていた。
 現在はグランドラインを難なく航海できるレベルではあったが、今回は船が船である。
「麦わらはふざけた船首をつけたキャラベルだそうだが」
 繰り返すが、キャラベルは小型の帆船である。
 グランドラインとはキャラベル船を軽く飲み込む大きさの海王類がうごめき、並の海賊では骨すら残らない海なのだ。
 だがエリファスはその言葉に触発されたらしく、
「よほどの猛者なのか、運のいい奴らなのか・・・」
「懸賞金からしても実績からしても猛者で運がいい奴らなんだろ」
「行ってやろうじゃねえか」
 話に置いけぼりなこざるはもはや体の緊張の限界であった。
「って休めの姿勢にしてやってねえのかよ」
「むしろ座って良かったんだけど、なんかそのままにしたくて」
「相変わらずどSめ」
 ホワイトペインに苦笑を向け、エリファスはソファの背もたれからとすっと降りて、つかつかとこざるに歩み寄る。
 目の前にすたっと立ち、
「エリファスだ。階級は少佐、本来なら戦列4番艦の艦長」
 こざるより少し若いが、グランドラインの件や度重なる海戦で階級が上がって行った。
 グランドラインの海賊も震え上がる猛者の集まりのホワペ艦隊の中なので、おこぼれ出世という評価も多い。実力は不明。
 猪突猛進であるかと思えば数隻相手に翻弄させている所からいまいちつかみ所がなく、赤猫の異名を持つ。
 こざるはここで気づいたのであるが、ホワイトペインにしてもエリファスにしても酒くさい。
「あーそっちは名簿で知ってるからいいや」
 エリファスはこざるの自己紹介をさえぎり、電電虫を手に取った。
「あーぷに、ちとえろふ連れて提督室。え、うるせえ、あれだほっぺさん超怒ってる」

まだまだ序章。
by eliphas_s | 2007-04-24 01:50 | 脳内連続小説
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